在宅介護をしていると、ふとした瞬間に孤独を感じることがあります。どうしても寂しさや孤独をぬぐいきれないときはどうすればいいのか、対策と工夫について一緒に考えていきましょう。
はじめに:在宅介護に潜む「孤独」という課題

高齢化が進む日本では、家族による在宅介護がますます増えています。
自宅での介護は慣れた環境で過ごせる安心感がある一方で、介護者と介護される人の双方が「孤独」を感じやすいというのがよく問題になっています。
外出の機会が減り、人とのつながりが薄れることで、だんだん心が塞ぎ込んでしまうことも少なくありません。
しかし、在宅介護による孤独を完全に避けることは難しくても、「感じにくくすること」は可能です。うまく気持ちを整理して、長年介護を続けている人もたくさんいます。
この記事では、在宅介護をしている人が孤独を軽減するための10個の具体的な対策について紹介します。
在宅介護で孤独を感じるのはどんなとき?

孤独とは、単に「一人でいる」状態を指すわけではありません。
周囲に人がいても、「理解されない」「助けを求められない」と感じると、そのストレスから孤独を感じてしまうことがあります。
また在宅介護では、介護する人と介護される人の関係性がうまくいかない場合も孤独を感じる原因になってしまうことも。
例えば介護される人は、家族に迷惑をかけていると感じて気持ちを言い出せないことも少なくありません。するとどうなるのかというっと、次のような悪循環が生まれてしまいます。
家族に迷惑をかけているのが辛い→言いたいことが言えない→気持ちを理解してもらえないのが辛い→不満がたまる→イライラが募る→心にもないことを言ってしまう→関係が悪化する→会話が減る→お互いに孤独を感じるようになる→介護鬱の状態に…
このように、双方が「相手に遠慮して」心を閉ざしてしまうことで、孤独はさらに深まっていくのです。
このような最悪な状況を回避するためには、閉ざされた家庭内だけで過ごすのは良くありません。
相手の気持ちを理解することも大切ですが、いろんな人と関わりを持って「息抜きする時間」「逃げ場」を作っておくことが重要になります。

「ガス抜きする時間」を意識的に作りたいですね♪
在宅介護の孤独をやわらげる10の具体的な対策

在宅介護で孤独をやわらげるためには、何でも自分1人で抱え込まないというのが大きなポイントになります。
なんでも自分1人で抱え込んで頑張ってしまう人や、自分だけは大丈夫と思い込んでいる人ほど、介護鬱になるリスクが高いので注意が必要です。
孤独をやわらげる10の具体的な対策について見ていきましょう!
①日常会話も積極的に楽しむ

在宅介護をしていると、毎日忙しくて介護することだけで精一杯になってしまいます。家の中での会話は減ってしまい、聞こえてくるのはテレビやラジオの音ばかり…。
しかし当然ですが介護は人と人の触れ合いです。お世話をするのは確かに大変ですが、日常会話も積極的に楽しむことが大切です。
「トイレは大丈夫?」「のどは渇いてない?」などの言葉かけ以外にも、「あの女優さん綺麗だよね」「そういえば昔こんなことがあったよね」など、なにげない会話から笑顔も生まれます。
大変な介護の日々でも、1日に少しでも笑い合えると安心できますね。
②家族以外との交流を意識的に増やす

在宅介護をしていると、いつの間にか家族以外との交流が希薄になってしまうことがあります。
しかし孤独を感じないためには、家族以外との交流も意識的に増やすことが大切です。
特に仲良しで気が合う友人などは、気兼ねなく会話ができる貴重な存在ですよね。ツラいときは弱音や愚痴も聞いてくれますし、気持ちに共感してくれるので心の支えになります。
会う時間がないときは電話で話したり、LINEで繋がるだけでも気分転換になるのは間違いありません。
③ 地域社会との関わりを維持する

家族や友人以外にも、地域社会との関りを維持するのも孤独を癒す助けになります。
ご近所さんと少し立ち話をしてみたり、自治会や地域のボランティア活動に参加するのもいいでしょう。
子供が学校に通っているなら、無理のない範囲で役員会などにも参加してみるといいかもしれません。
地域社会との関わりを維持していると、本当に困ったときに手を差し伸べてくれる人もいます。余裕のあるときに人助けをしていると、その行動はやがて自分に返ってくるでしょう。
なんでも完璧にしなくてはいけないと思わず、介護の事情などを話して「参加できるときにお手伝いをする」というスタンスで関わりを維持していきたいですね。
④福祉や介護サービスを上手に活用する

在宅介護をする場合、ケアマネさんと相談しながら福祉サービスや介護サービスを利用できます。
介護保険が適用されると、重労働であるお風呂や専門的な知識が必要になるリハビリなど、さまざまなサポートを受けることができます。
このような介護のプロと会話をすると、知識や技術が身につき、いざというときも安心です。
「助けを求めることは悪いことではない」「できないことは上手に専門家やプロに頼ればいい」と肩の力が抜けて気持ちが楽になります。
⑤ SNSなどで「つながり」を広げる

現在は高齢の方でも1人1台スマホを持っている時代です。
昔は在宅介護をしていると外の世界と繋がる機会は少なかったかもしれませんが、現代社会の日本では介護に関するオンラインのコミュニティもたくさんあります。
同じように介護を頑張っている人と話をすることで、悩みも共有できて「大変なのは自分だけじゃない」と前向きな気持ちになれるはずです。
匿名性の高いSNSも、愚痴や孤独を吐き出したいときは心を軽くするツールの1つになります。ぜひ積極的に活用してみるといいでしょう。
⑥限界が来る前にカウンセリングを受ける

介護で孤独を感じるようになると、知らず知らずのうちにストレスがたまります。
最終的には介護うつのような状態になってしまう人もいるので、限界が来る前にカウンセリングを受けることも大切です。
心のケアをしてくれる専門家を見つけて、適切なアドバイスを受けることで最悪な状況は防ぐことができるはずです。
カウンセリングを受けることは何も恥ずかしいことではありません。
家族にも、友人にも、ケアマネさんにも言えないような悩みがある人は、早めにしかるべきカウンセリングを受けてみるのもいいかもしれませんね。
⑦ 自分自身の「息抜き時間」を確保する

在宅介護で孤独を感じているときは、たとえ短い時間でも、自分が好きなことやリラックスできる時間を持つことが重要です。
音楽を聴く、散歩する、コーヒーをゆっくり飲む。それだけでも気持ちがリセットされますね。
息抜き時間を上手に確保している人はイライラも溜まりにくく、夜もぐっすり眠れるようになります。
在宅介護は長期戦なので、ずっと気を張り詰めているのは不可能です。家族の助けや介護サービスなどを使い、上手にガス抜きすることが大切です。
⑧頑張っている自分にご褒美をあげる

孤独を感じるときは自分に自信がなくなってしまったり、自分の存在が世間に忘れられているのではないかという不安に襲われたりすることもあります。
介護をしていると自分のことは後回しになってしまいがちですが、頑張っている自分にはさっさとご褒美をあげて気分を上げるのがおすすめです。
ご褒美といっても、ちょっと高いお菓子を買うとか、夕食で自分の好物を1品作るとか、そんな小さなことでも十分な効果があります。
自分が頑張っているのを一番よく知っているのは自分自身です。
孤独を感じるほど黙って頑張りすぎる前に、しっかりと自分にご褒美を用意してねぎらってあげましょう。
⑨時間があるときは早めに休む

疲れがたまると、人はどうしてもネガティブな気持ちになってしまいます。
在宅介護をしていると夜はなかなかお世話や家事が終わらず、夜間に起こされることもあるかもしれませんが、時間があるときは早めに休むようにした方がいいでしょう。
十分な睡眠時間を取れば体の疲れも取れて、気分が良くなります。
寝不足が続くと心も体も疲弊してしまうので、明日できることは明日に持ち越す!と割り切ることも大切です。
⑩無理をしない範囲で運動する

介護や家事などで疲れているのに運動なんて無理!と思うかもしれませんが、軽い運動はストレス解消になります。
10分ほど近所をウォーキングしたり、家の中で軽いストレッチやヨガをしたり、体を動かすと気分もリフレッシュできるはず。
好きな音楽でも聴きながら少しだけ体を動かして、心のモヤモヤを吹き飛ばすのは孤独の解消にとてもおすすめです。
まとめ:一人で抱え込まない介護を目指して

在宅介護の孤独を乗り越えるためのポイントをまとめると、ポイントは次の通りです。
- 家の中に閉じこもらない
- 楽をすることを手抜きだと思わない
- 頑張っている自分を認めてあげる
- 疲れたときは無理をしない
- 完璧にしなければいいけないと思わない
在宅介護は人に言えない苦労がたくさんありますが、決して1人で何でも抱え込んではいけません。
頑張りすぎると長続きしないので、適度に緩く、できる範囲のことをすればいいと気持ちをラクに持つことが大切です。
SNSなども上手に使い、気の合うコミュニティを見つけて、自分の人生もしっかり楽しんでいきましょう!



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